ちょっと怖かった話

この文章は、オバケにまつわるちょっぴり怖い話です。得意でなければ引き返してね。


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最近は、夜19時過ぎから20時半過ぎまでの時間を、娘と二人で過ごしている。
二人で遊んで、二人で風呂に入る。その間妻は母屋で過ごすので、我々が居住する棟に居るのは二人だけだ。

さて、11月11日の夜のこと。
19時半過ぎ、私と二人で楽しく遊んでいた娘が、急に神妙な顔になって「声がする」と言い出した。ギョッとして耳を澄ます。が、私には何も聞こえない。何て言ってる?と聞くと、「分からないけど。」とのこと。
あっ!…よもやよもやだが、あの人がオバケになってやって来たのか?

前日の11月10日、仕事で初めてご遺体のある現場で責任者になった。初めて仕事中に見たご遺体は頭部が無く、腕と足も一部を残して無くなっていた。かなり酷い状態ではあったが、案外ショックは感じられない。あぁそうか、一番ショッキングな亡骸は既に見ているからなぁ、などと妙に納得しながら、淡々と手順をこなして仕事を終えた。家に帰ってからも特に引きずることはなく、夜は熟睡し、翌朝は爽やかに目覚めた。

というわけで普段と変わらずに過ごしていたが、娘に「声がする」(そんなことを言うのは初めてだ)と言われて、前日のあのご遺体の姿かたちがにわかに思い出され、げ、あの人が来たのかも、と恐怖を感じたのであった。

疑心が暗鬼を生んだのだろう、風呂に入るまでの間、私が話すと声に合わせて近くで物音がするような状態が続く。ギクッとして話を止めると音も止む。娘を不安にさせてはならないので普段通りの態度を心がけるが、実に怖い…!

その後、風呂に入っている間に数回、ごく一瞬蛍光灯が明滅したり、誰もいないはずの居間の方から物音が聞こえたりして肝を冷やしたが、それ以降は怪奇現象は発生せず今に至っている。これを書いている最中も、やっぱり特に妙な気配は感じられない。ふう。もう、どこかにいってしまったのだろう。娘も変わらず元気だ。

成仏してくださいませ。
(-人-)南無。

死ぬと体を構成していた物質は火葬場の煙突から大気に放出され、地面に落ち、他の生き物の体に取り込まれる。まあ、死ななくても常にじわじわと体の構成物質は入れ替わり続け、循環を繰り返し続けているけどね。そう思うと、物質的には自分と自分以外の境界って結構曖昧だよな。それならいっそ心の境界も曖昧だと良いのだが、と座禅の真似事をしていて思う。まだまだ先は長い。2021.11.07 高松の池にて

(2021.11.13)

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