夏=虫。
夏の楽しみと言えば虫だ、と主張する虫好きが世の中には一定数存在する。私もその一人だ。子ども時代の痺れるような情熱は失ってしまったが、良い歳になった今でもまだ、虫好きの残り香が体中のあちこちから漂ってくる。だから虫の観察に行き、どこぞの子どもが虫採りに一生懸命になっているのに出くわすと「お前もか」と嬉しくなる。
その同好の士が自分の息子だったら、どんなに楽しかっただろう。
息子と共有したかった楽しみ。それを自分一人ででも楽しんでいれば、息子もどこかで見ていて喜んでくれるのかも知れない。なんて思ったりして、この夏はいつも以上にガッツリと虫遊びを満喫している。
四十四田ダムにて
7月16日の夜に四十四田ダムに行き、虫撮り(※虫採り、ではない)をしてきた。
昔と違って、何でもかんでも捕まえて持ち帰りたい!とは思わなくなった。成長なのか、それとも老化なのか。虫への共感力が増し、飼う責任に気づいたのは成長かもしれないし、カッコいい!欲しい!という興奮がとんと薄れたのは老化かもしれない。
何にせよ、写真を撮るだけで満足できるようになったというのは、お互いにとって良いことだと思う。
では、撮った写真を以下にペタペタ。










カブトムシの標本が乾燥するまで2週間。その間に箱も手作りしよう。夏の楽しみは続く。
ところで、カブトムシのことを最近はわざわざ「ヤマトカブト」と呼んだりするらしい。1999年に外国産の昆虫の輸入が解禁され、「コーカサスオオカブト」やら「タイリクカブト」やら、様々なカブトムシが入ってきたためだろう。じゃあ普通のカブトムシは何カブトなの?に対して出てきた(再認知された)のが「ヤマト」だったのでしょうね(なぜニホンじゃないのかと言うと、日本の中にもオキナワカブト、クメジマカブト等亜種がいるから)。
1999年、外国産昆虫の輸入自由化が進んだ年、私は大学生だった。つまり私が小さかった頃はまだ海外の昆虫は市中にほとんど流通しておらず、それらは滅多なことでは手に入らない貴重な貴重な生き物だった。学研の「世界の珍虫・奇虫」という図鑑を買ってもらい、ヨダレを垂らして眺めた過去を思い出す。全く、今の子どもたちが羨ましいぜ。…と思いつつ、手に入れられなかったからこそ未だに強く憧れ続けられるのだ、あれはあれで実に良かったのだ、とも思う。見果てぬ夢はいつまでも追い続けられる、みたいな感じですかね。
(2021.7.19)
