松園水辺公園

盛岡で白鳥の写真を撮るならば高松の池に行けば間違いないが、他にも絶好の場所がいくつかある。その一つが松園水辺公園で、この場所の売りは白鳥と岩手山を一緒に撮れるところだ。
松園水辺公園は四十四田ダムのダム湖である南部片富士湖沿いに整備されている。公園と言ってもあるのは約1㎞の遊歩道と6㎡ほどの展望デッキ(2021.1.23現在使用禁止)、東屋、テーブル、ベンチくらい。しかしながら山や湖、草木や花、夜空、生き物と見どころ満載で、歩いていてとても癒される、盛岡の隠れた名スポットである。ちなみに南部片富士湖という名前は1969年(昭和44年)に盛岡市観光協会が命名したという。もちろん南部片富士とは岩手山の別名。北に山を見たときに片側、東側の斜面のラインが富士山のように美しいから。

 先日、今シーズンもそろそろ白鳥が来る頃だろうかと思って公園に様子を見に行ってきた。しかし残念、カルガモは数羽いたが白鳥は1匹もいなかった。ということで今シーズンの白鳥がいる水辺公園の写真は後日追記で載せることにして、今回は過去写真を使って松園水辺公園の紹介をしようと思う。

松園水辺公園の地図

南部片富士湖のごくごく一部のエリアに、松園水辺公園がある。ちなみに北の奥の方には柳平水辺公園もある。
案内図が公園の両端に設置されている。こちらは公園の南側の案内図。この看板の大きな地図は東が上になっているので注意。
この案内図は公園の北側にある方。同じく大きな地図は上が東。
1枚目の写真全体地図に載っていた柳平水辺公園にある案内図。こちらの紹介はまた別の機会に。大きな地図は今度は南が上。

先日(2021.1.23)の松園水辺公園の様子

まずは先日1月23日に水辺公園に様子を見に行ったときの写真を上げる。この日現場に行ってまず初めに気づいたのは「コココ…」という連続音だった。あたりを見回すと木の枝に白黒のまだら模様の鳥が止まっているのが見えた。コゲラだ。

コゲラ(小啄木鳥)。多分メス。コゲラは日本最小のキツツキで、スズメくらいの体長約15㎝。体重約20g。留鳥で全国に分布。2021.1.23。
両足と尻尾で体を固定して、首を持ち上げて…  2021.1.23
連続して木の幹や枝をつつく(ドラミング)。ドラミングの目的は餌取り、巣作り、縄張りの誇示、求愛等であり、それぞれ音が違うという。ドラミングはオスもメスも行う。2021.1.23。

コゲラの写真を撮った後で、湖の見える展望デッキに向かって歩く。白鳥の鳴き声は全くしない。そして数分後、到着。

展望デッキ付近より、氷の張った南部片富士湖と岩手山。湖に近づく前から気配はなかったけれど、案の定白鳥は一匹もいなかった。2021.1.23。

うむ。いつ見ても岩手山は素晴らしい。白鳥はいないが大満足だ。

…ふと湖面を見ると、氷の上に動物の足跡が点々とついていた。水鳥は水面に浮かぶことで敵に襲われないようにしているが、これだと敵に攻め込まれ放題だ。この湖上の氷がある程度融けるまでは白鳥はここに来られないのかも。

動物の足跡が湖面の雪の上に縦横に延々と続いていた。足跡のサイズ的にあまり大きな動物ではなさそう。
足跡がきれいに残っていたので望遠レンズで覗くと、キツネだ。
夜、月明かりで白く明るく光る湖面をキツネが歩いている情景を想像し、少しワクワクする。いつか機会があれば夜通し観察しても面白そう。1週間くらい張り込めば、あるいは。
あとはスカシダワラを見つけた。昆虫は昔から大好きなのだが何故か蛾だけは昔からものすごく苦手だ。スカシダワラはクスサンという大型の蛾の繭。(関連記事はこちら)本来は気持ち悪くて近づかないが、遠目に見て既にもぬけの殻であることが明らかだったので今回は望遠レンズ撮影ではなく実際に近づいてみた。
繭の左側に抜け出した穴が見える。中には蛹のカスが一部残っていた。うーん気持ち悪し。長野県にはカイコの蛹を食べる文化があるというが、全くもって信じがたい!!(個人の感想であり、他エリアの文化を非難する意図は全くありません。ということで昆虫食の広告をペタ。)

ここから過去写真

時系列的に近いものから過去に遡っていきます。

2020.12.6。展望デッキ側の遊歩道入り口にて。ウスタビガのメスの死骸を発見。スカシダワラのクスサンとは同じヤママユガ科の仲間。ヤママユガの仲間の成虫には口がない。
2020.12.6。展望デッキ側遊歩道入り口。長い棒を持ちたがるのは小さな子どもあるあるか。私も子どもの頃よくやった。当時はただ楽しかったが、今思い返せば自分の身体能力を拡張させる感覚が得られるのが楽しかった。しかし「長い」だけで楽しいというのは感覚が鋭い子ども時代ならではで、大人になった今は感覚がすっかり鈍り、自転車やバイク、カメラ、ナイフ、楽器とかでより強力に能力拡張を図らなければ楽しめなくなってしまった。
2020.12.6。遊歩道の中央付近。初冬は落ち葉の絨毯が足に心地よい。娘もすっかり夢中。
2020.12.6。同じく遊歩道中央付近。落ち葉を投げて、落ちてくる様子を見て楽しむ娘。濡れ具合で落ち方が違う。娘を見ていると、そういう楽しみ方もあるのね、と色々勉強になることが多い。
2020.12.6。これも遊歩道中央付近。2~3個、大きなベンチのような、テーブルのようなものが置いてある(あれ、でも地図上には5個だ)。
2020.12.6。遊歩道の中央よりも展望デッキ側に近いところ。遊歩道はごく一部林の中を歩くがほとんどは湖のほとりに整備されていて、木材風の樹脂製の柵で囲われているところが多い。展望デッキ付近は一部柵ではなく細いロープが張られているところもあるので、小さい子は注意が必要かも。

2020.4.12。遊歩道中程で。このスカシダワラにはしっかり蛹が入っていて恐ろしい。羽化は10月以降ということでこの半年後くらい。クスサンも成虫に口がなく、食料も水も採らない。一般的に雌を探して飛び回る雄の方がエネルギー消費が多く寿命が短いが、雌も長くても9日ほどで死ぬらしい。
2020.3.1。岩手山をバックに、白鳥が休む湖面。展望デッキ側で撮影。写真の右手前の林の中には「聖ロザリオ修道院」がある。
2020.3.1。展望デッキ側。日中より夕方の方が数が多いのだが、どこに何をしに行っているのだろう。畑で食事か日光浴か、あるいは高松の池との往復で渡りの準備か。
2020.3.1。展望デッキ側。北東に向かって飛ぶ白鳥の群れ。柳平水辺公園の方角だ。南部片富士湖内も移動してまわっていそう。
2020.3.1。展望デッキ側。何となく押井守監督アニメ「スカイ・クロラ」(原作は森博嗣)の散香っぽいな、とふと思った。
2019.11.17。東屋側で。秋は紅葉が綺麗だ。
2019.11.17。東屋側。カラマツの黄色が美しい。ドングリ拾いも出来る。
2019.11.17。東屋側。真上が飛行機の航路になっている。無音で飛ぶ飛行機を、何も考えずにボケーッと見上げるのもなかなか乙だ。
2019.11.17。東屋側でこのような看板も見かけた。ここは「松園十景」のひとつらしい。あと9個を訪ね歩くのも楽しそう。あれ、それともここで3個?5個?
2019.11.17。東屋側。この湖面をボートで移動できたら楽しいだろうな。
2019.11.17。展望デッキ側にて。いついかなる時も岩手山は雄大だ。
2018.9.12。東屋側の駐車場付近。娘はまだ0歳。散歩していた見知らぬオジサンに話しかけられ、「赤ちゃんがいる今が一番楽しい時期だから十分満喫するように。俺は離婚して一人で寂しい老後だ。」とアドバイス?を受けた。娘と一緒にいていつも思うが、今が一番可愛いし、今が一番楽しい。これがずっと続くと信じている。

最後に

上の文中にも少し書いたが、南部片富士湖に行く度にいつも「湖に船で入って行って白鳥を間近で撮ったり反対岸に上陸したりしたら楽しそうだな」と思う。昔はただ無邪気にそう思っていたが、色々あった今でもやはりそう思う。
そういうことって可能なのだろうか?と調べてみたら、北上川ダム統合管理事務所のサイトにこのような文章が載っていた。
「五大ダム貯水池(南部片富士湖・御所湖・田瀬湖・錦秋湖・奥州湖)の湖面使用については、「自己責任」における「自由使用」になっています。ただし、水域通航規制区域や、エンジン付船舶についてはご遠慮いただいている貯水池がありますので、詳細についてはそれぞれのダム管理担当課、支所にお問い合わせ下さい。」
引用元:国土交通省東北地方整備局北上川ダム統合管理事務所のサイト http://www.thr.mlit.go.jp/kitakato/07info/riyou.html

なるほど、ゴムボートとかシーカヤックとかは問題なさそうだが、水域通航規制区域の場所が分からない。いずれ船を入手したらダム管理担当課に電話して聞いてみるか。

そういえば四十四田ダムで面白い光景を見たことがあるので、写真を載せておく。

2020.5.3。四十四田ダムの天端(ダムサイトの上のところ。歩道になっている)から南部片富士湖を眺めた時に、水面を歩く(?)人影を発見した。初めは見間違いかと思い、その後何度か見て間違いないと分かったが、どうやっているのか、肉眼では全く見えない。
望遠レンズで覗いたら、なるほど。麻原彰晃でも忍者ハットリくんでもなく、サーフボードみたいなものに乗ってオールで水を漕いで進んでいる一般男性でした。2020.5.3。ちなみにこのアクティビティは「SUP(スタンドアップパドルボードorスタンドアップパドルサーフィン)」というらしい。ボディバランスに自信がないので、私は船にしとこう(笑)。

娘と一緒に船で湖面を進んだらきっととても楽しいだろうな、と未来に夢を膨らませて、この文章はおわり。


(2021.1.27)

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