FUSION

感動しました

最近、職場の先輩にある装置に関する質問をして、聞きたかったことをピンポイントで答えてもらい、パッと理解できて、ひどく感動した。
感動の理由は、知りたいことが分かってカタルシスを得たため、だけではない。それに加えて、相手が「この人はどこで引っかかっているのかな」、「何と何をどう関連付けて話せば一層理解が進むかな」と、私の立場に立って、私に合わせて教えようと努力してくれたことに深く感動したのである。もう少し言及できる気がするので、下に続ける。

なりきる

質問に答えるときを含め、相手になりきり、相手ならどのように感じ、考えるだろうかと想像するのは、なかなか難しいことだ。だって、相手どころか自分自身についてさえ、うまく認識したり把握したり制御したりできない領域が一定程度あるのだもの。それに今自分が正しいと思っていることが、少し後には正しく感じられないなんてことがザラにある。「自分」は実に不確実で流動的だ。そんな不確実で流動的な自分が、不確実で流動的な他人を推し量るのだから、簡単なハズがない。

ただ逆に言えば、お互いが自分自身のことを分かりきっていないなら、私が相手になりきって考えることで、相手が自分で考える以上に私が相手のその時のベストの答えに近づく可能性もある(もちろん離れる可能性もある)。反対に、相手が私以上に私のベストに近い答えを提供してくれることもある。お、冒頭の「質問に対する答えに感動する理由」というのはこれだ。私に物凄く寄り添ってくれた。私以上に私のことを考えてくれた。大げさに言えば、探していた私に先になり、そして私がそこに追いつくのを待っていてくれた。ということに対する気付きと感動だな。

自他の境界…

ところで、相手になりきって何か考える時、「相手だったらどう考えるかを考えている自分」をよく観察すると良い。そうすると、相手は決して自分では無いことが分かるのと同時に、ある意味で自分が相手と同じ存在であることにも気づく。つまり、考えて行動した結果何かが起き、それに対して喜怒哀楽が発生するという点で、相手と自分は可能性を共有している。各個人に自分の体があり、自分の認知特性・行動特性に沿って考え動くけれども、考えて動いた結果起こることが同じで、それによって味わう感情も同じ。これは特に喜びとか感動とか安心とかに関する流れだと分かりやすい。負の感情は人によりバラエティが豊かなので、それなりに似た気分の流れは味わうだろうが、そっくりになるかは分からない。

例を出してみる。
庭で娘と遊んでいて、しおれている花を見て娘が可哀想だと思っている。私も、あ、娘は花がしおれて可哀想と思ってるな、確かにそうだな、と思う。で、私が花に水をやり、その後花が復活する。「お花が元気になった!」と娘が喜ぶ。私も花が元気になったことを喜ぶ。反対に水をやるのが娘だったとしても、その後花は復活し、喜ぶ娘と私。
どちらが水をあげても花は同じように復活するし、花が復活したことに対して抱いた喜びを見てみれば娘と私は同じものを共有している。どっちがどうということはない。私には「あぁ娘が喜んで良かった」とか「娘の優しさが誇らしい」とか「今後も花を見て喜ぶ娘が見られそうだ、楽しみだぞ」とかいうようなプラスアルファがくっ付くけれど、それを取っ払って「花が元気になって良かったね」を味わうとき、娘と私の喜びは同じで、共有されている。娘と私はその瞬間は境界がなく、はっきり別人だ、と言い切ることができない。極端に言えば、その時の二人は体二つを共有する同一人物だ。

まぁ、例に自信はないが、今後も何か文章を書くうちに整理統合されていくだろうから今回はこれで終わり。

終わりに

さて最初の「質問の話」に戻る。相手が自分のことを理解しようと努めてくれていることに気づいたとき、相手に対し感謝と好意を覚える。困っているときはなおさらだ。そして質問する時は何かに困っているときだ。だから誰かから質問を受けたときはチャンスだと思うと良い。何のどの部分が分からずに困っているのか、どう答えればよりスムーズに理解が得られそうかをよく考え、相手になりきって答えてあげよう。うまくいけば、相手は感謝と好意を返してくれるだろう。完璧にうまく行けば、相手と自分が同一人物であるかのような気持ちを味わう体験もできるかもしれない。

そんなわけでこの文章で何を言いたいのかというと、

「娘氏が質問してくれる時は全身全霊をかけて応えたいと思いますので、お父さんを何卒よろしくお願いします。」

ということです。

(2021.12.22 冬至の日に)

娘が玄関先に作った氷のケーキが実に素敵な2021年の冬至でした。一陽来復、また大好きな夏が近づいてくる。2021.12.22

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