クヌギのこと

室内に退避中のクヌギの若木が新しく葉を付けたので、このクヌギのこれまでの様子と、その当時の心境などを振り返ってみたい。トトロについても触れる。

2月16日現在のクヌギの様子。無事に新たな葉を付けてくれた。2022.2.16
一昨年の秋に娘がドングリを拾い、去年の早春に植えて初夏に芽吹いたクヌギ。屋外でも生き続けるはずだが、心配だったので冬は屋内に持ち込み、温かく過ごさせた。木としては0歳9か月。2022.2.16

クヌギの木について

ブナ科コナラ属の落葉広葉樹で、青森県を除く本州、四国、九州、沖縄に自生する。樹高15~20mになる大高木で、200年程度生きる。雌雄同株、雌雄異花。世界に約1000種類、うち日本に22種類ある「ドングリの生る木」の一つ。
ちなみにドングリは「団栗」と書く。団という字が一瞬不可思議だが、この団(本来は團)という漢字には「丸い」という意味があるそうだ。確かに栗の実は正面から見れば丸いが真上から見れば半円形だ。それに対してクヌギの実はどこから見ても大体まん丸だ。ということで団(まる)い栗でドングリ。
…と言うのは宮國晋一著「ポケット版ドングリさんぽ手帖」によるが、ご多分に漏れず、ドングリの語源も所説ある。広く調べてみると面白い。

過去写真で時系列を追う

息子を失い、妻も私もまだまだ何が何だか分からない状態だった頃。一生懸命ドングリを拾う2歳の娘の無邪気な姿にどれ程慰められたことか。感謝。松園のせせらぎ緑地にて。2020.10.25
「いざ、ドングリ拾いへ!」という時の、ヤル気に満ちた娘の顔が素敵。私も子どもの頃にドングリ拾いに大いに励んだので、その気持ちは良く分かるぞ。2020.11.15
自分が過去に夢中になったものに対して娘が夢中になっているのを見るのは実に楽しく、また寂しい。寂しい理由は、子ども時代全盛期の娘が強く感じている興奮や情熱は、大人の私にはすっかり失われてしまっているのだ、と改めて気づくから。つまり娘よ、今が楽しむチャンスだぞい! …ところで娘よ、実は君の名前にはドングリを意味する漢字が入ってるぞい。
成果物のクヌギのドングリ。私は子どもの頃帽子(殻斗という)を付けたまま集めたものだが、娘は実だけを集めていた。こういう細かい好みは遺伝しないのかな。人それぞれで、面白い。2021.1.1
うん、やっぱり帽子付きが自分にはしっくりくる。深層心理の願望か何かが反映されているのだろうか?いやでも自分の頭については、特段帽子をかぶりたいとか隠したいとかいう気持ちは無いか。2021.1.16
庭にドングリを植え、双葉が出た。何となく、息子と重ねてみたり、自分が老いるまで育てようと思ったり。2021.5.13
双葉が出るとあとは一気に成長していく。クヌギは生命力が強い樹木だそうで、うまくすると300年程生きるという。少なくとも私よりは長生きするだろう。定植する場所をちゃんと考えないと、後で大変なことになるやも。2021.5.29
ぐんぐん成長中。2021.6.5
葉が三段になったあたりから、あまり縦には伸びなくなった。1年目はこういうものなのだろうか。幹の根元付近はその後若干太くなった。それにしてもこの形どこかで見たことあるなぁ。と思ったら、「となりのトトロ」でサツキちゃんがスケッチしたクヌギの若木の絵に似ているのだった。2021.6.27
寒くなってきたので室内に退避。庭の畑に植えたのは左側のやつで、右側のは少し後から庭のプランターに植えたもの。こちらもせせらぎ緑地で娘が拾ったドングリから生えた。土の上に見える肌色の粒は娘が遊びで蒔いた稲の種モミ。2021.10.24
あぁ、早速種モミから芽が出てきてしまった。本来は3〜4月に蒔くらしいのだが…。しかしこんなに小さいのに稲の葉露?がちゃんとついているのはビックリ。2021.11.14
※稲の葉露関連の投稿はコチラ
葉っぱが茶色くなり、片方のはある時娘による衝撃で落ちた。もう片方は衝撃が与えられなかったので、しばらくの間茶色の葉がくっ付いていた。ウィキを見ると葉が枯れても「離層が形成されないため枝からなかなか落ち」ないと書いてある。2021.12.10
その後葉はすっかり落ちて、葉の付いていた場所に芽ができ、少しずつ膨らんでいった。稲は、だいぶ伸びてしまった。2022.1.22
芽が大きくなった。2022.1.24
芽から葉が出てきた。2022.2.4
ようこそ、お久しぶりですね。2022.2.11
一気に葉が広がった。芽のサイズにそぐわない葉の数と大きさ。抜け殻から出て伸ばした後のセミの翅を見たときと同様、「一体どこにそれが入ってたのよ!?」とツッコみたくなってしまう。生き物ってスゴイ。2022.2.13
初期の葉にはうぶ毛がびっしり生えている。何だか人間の赤ちゃんと似ているな。2022.2.13
葉の生えた芽の下に、芽が何個もある。これらもいずれ葉を付けるのだろうか?2022.2.13
で、冒頭の状態。三日間でうぶ毛はかなり減った。もう少ししたらまた庭に植え替えて、そして娘とドンドコ踊りをしよう。2022.2.16

ドングリと、トトロ

私が最もドングリ拾いに熱中したのは5歳前後の頃だった。その数年後にニチイ(今の津志田のデンコードーがある場所に昔あったスーパー)の広場の大型テレビで最新の「となりのトトロ」のビデオが放映されているのを見て、「うわっ懐かしい、ドングリ拾い、楽しかったなぁ」と回顧した覚えがある。ちなみにその時私は9歳(笑)。9歳児にとっては5歳の頃の出来事は遠い過去の懐かしい記憶なのだ。

ところで「となりのトトロ」で主人公たちが住む家の裏に大きなクスノキが出てくるのだが、この映画のイメージが強いのか、クスノキにドングリが生ると思っている人が結構いる。同じ勘違いをしたまま論評を書いてしまったプロの文章も幾つか読んだことがある。しかし、ドングリとはブナ科の樹木に実る果実の総称であり、クスノキはブナ科ではなくクスノキ科であって当然ドングリは生らない。生るのは黒い液果だ。ドングリは乾果の中の堅果で液果とはグループが違う。

一つ不思議なのが、なぜトトロの住む大木がドングリの生る木ではなく、劇中曲の「風の通り道」の歌詞(宮崎駿監督作詞、本編ではインスト曲)にあるニレの木でもなく、クスノキになったのか、ということだが、評論家のそれらしい論理展開がたくさんありつつ、当の宮崎監督本人は「『照葉樹林文化論』に出会ったことが大きい」と話している。で、私はまだその本を読んだことがないので、ここで「こうだからこうなのだ」とハッキリと言うことができない。本を読んだ上でいずれ触れたい。

これまで読んだトトロに関する本たち。非常に勉強になるものから、全く下らないものまで。これは…!と思ったものの関連本は選り好みせず沢山読んでみると良い。酷いと思った本でも、何かしら発見があるかも知れないし、やっぱり無いかも知れない。ネット上だと、叶精二という方の「『となりのトトロ』の自然観」がなかなか良くまとめられていると思う。2022.2.17


クヌギとドングリからはどんどん離れていくが、トトロのことに若干触れたので、最後に愛知県長久手市の愛・地球博記念公園(モリコロパーク)内にあるサツキとメイの家の写真をペタリ。

7年半前、愛知県長久手市のモリコロパークまで、バイクでキャンブツーリングをしながら行った。870kmほどの距離で、思っていたよりも大分遠かった。到着後、高台から「サツキとメイの家」を見下ろす。2014.8.7
近くで。2014.8.7
書斎の内部。2014.8.7
続きの二間。2014.8.7
台所。2014.8.7

サツキとメイの家に行った時はまだ結婚しておらず、もちろん子どももいなかった。そして今は妻と子どもたちがいる。そしてそして、嬉しいことにこのモリコロパークに今年、子どもも楽しめる新しいテーマパーク、「ジブリパーク」が開園することになっている(2022年11月1日に第一弾がスタート)。

いずれ自分は確実にジブリパークを訪れることになるが、その時家族で一緒に行って皆で楽しめたら、一人で味わうよりも尚一層良い気分になるかも知れない。かなり遠いし、ある程度子どもたちが大きくなってからだから、4〜5年後くらいかな。ということは、まずはわたくしが斥候役として先に偵察してこようかな。いや、4歳の娘なら少し分かるかも知れないし、既に結構トトロに詳しいし、早速二人で行ってみようか。…等々考えて、今から楽しみが尽きない。

全く、趣味は良い。それと、全くもって家族は良い。

映画「となりのトトロ」(© 1988 Studio Ghibli) より、サツキが書いたドングリが生る木の若木のスケッチ。左端がクヌギ。娘が小学生になったら、一緒にドングリの自由研究をしても楽しいかも知れない。色々楽しみだな。

(2022.2.16)

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