6月5日、いつも虫を撮りに行く山の近くの神社で不思議なものを見かけた。

クヌギの若木に実った何か。ドングリ以外に、しかも6月に出来るこれは一体何だろう?
かなり気になったが、この日は虫の写真撮りを優先してすぐにこの場所を離れた。
没食子(虫こぶ、ゴール)
さて、家に帰ってから調べてみたら、この果実のようなものは「没食子(もっしょくし)」というらしい。
「ブナ科の植物の若芽が変形し瘤になったもの。この瘤はタンニン成分を多く含み、これを抽出し染料やインクとした。」以上ウィキより引用。
没食子は虫こぶ、ゴールとも言い、タマバチ、タマバエ、カメムシの仲間などが卵を産み付けることにより出来る物体だそうだ。引用にもチラと書いてあるが、水と没食子と錆びた鉄釘等とを一緒に煮て、増粘剤を入れると、ある種のインクが出来るんだって。
調べるうちに何とも気になる存在となったので、翌日は虫撮りは休んで没食子を見るためだけに出掛けてみることに。


稲の葉露と稲葉の猿子
そしてここでガラリと話題が変わり、庭の田んぼの稲を夜から早朝にかけての時間に見てみると、水滴が沢山付いていることに気づく、という話。


調べてみると、水滴は「稲の葉露」と呼ばれるもので、常に根っこから吸い上げた水を葉から蒸散させているのが、外気温が下がる夜間や早朝は蒸発し切らずに葉に付き、それが集まって次第に大きくなっていくのだという。
水滴が葉先に向かうのは「稲葉の猿子」といい、葉露が合体する時などに稲葉の表面の上向きのギザギザにガイドされて次第に上へ上へと上がっていくんだって。やはり気のせいでなく本当に上がっているようだ。

最近知ったことだが、「稲の葉露を集めた水で墨をすり、できた墨汁で短冊に願い事を書いて七夕に飾ると願いが叶う」という言い伝えがあるそうだ。そして没食子は加工するとインクになるそうだ。ということは、稲の葉露を集めた水で没食子インクを作り、そのインクを万年筆などに入れて短冊に願い事を書いたら、色々と面白いんじゃないでしょうか。叶って欲しい願いもしっかりあることだし。
没食子と稲の葉露の話なのにこのページのタイトルが七夕になっているのは、そんな訳です。
インク作りの前段階




しかし昔の人って相当暇だったんだなぁ。いやそれとも雅な人々が召し使いや奴隷どもに葉露を集めさせていたのかな。などと感想を持てて、面白い。色々調べて、自分で試しに色々やってみるというのは、良いことだと思う。「ベイビーステップ」が、将来何かに化ける可能性もある。
手作りインクの世界も相当深い沼が広がっているみたいだ。今は時間がないけれど、引退して時間に余裕ができたらズブズブ進んでみても面白いかもしれないな、と思ったり、私の世界では世界最大の沼、娘沼から抜け出せる日が来るまでは他の沼は湖畔をうろつくのみよ、と思ったり。
インク作りのその後は七夕②に書きます。
(2021.7.8)