橋本環奈ちゃんが出演している洋服の青山のCMをよく目にする。娘が父親に対してカメラ越しに「喧嘩するとうるさいとか言うけど、本当はすごく尊敬しているよ」と言うあれである。環奈ちゃんのセリフは娘が3歳である現在の自分には全くピンとこないし、CM製作者のあからさまな意図を(あえて強がって)鼻で笑ったりしてしまうが、私もいずれ思春期の娘に「うるさい」とか「臭い」とか言われて落ち込んだ時、ああいうCMを見て何か心にグサッとくるものがあったりするのだろうか。もしかして意を決して娘に「あのさ、スーツ買ってあげようか…?」とか言って断られ、一人で洋服の青山に行き別に欲しくもないYシャツを空しく買ったりするのだろうか。トホホ、全くそら恐ろしいことだ。
Tシャツ実験とHLA
なぜ父親が娘に生理的に無理、と思われてしまうのかを調べた実験として、1995年にスイスのベルン大学の動物学者クラウス・ヴェーデキント博士が行った「Tシャツ実験」なるものがあるという。思春期の女性が男性の汗のにおいを嗅いだ時、体内に持つHLA(Human leukocyte antigen:ヒト白血球抗原)という物質の遺伝子のセットの型が近いほど不快なにおい、遠いほど魅力的なにおいに感じる(らしい)、というのがその実験の結果だ。
HLAは「自己」と「非自己」の識別など、免疫反応に重要な役割を果たしており、父親から1セット、母親から1セットを受け継ぎ、計2セットを体内に有している。HLAのタイプごとに免疫系が対処できるリスクが決まっているので、子孫としてはより似ていない型のHLAを受け継ぐ方が守備範囲が広がって生存確率が上がり、都合がいい。しかし父と娘、兄と妹や姉と弟など、近親者はHLAのタイプが似ている。娘のHLAの半分は必ず父親と同じセットだし、兄弟姉妹間では男の子どもが父親から受け継いだHLAと女の子どもが父親から受け継いだHLAが同じである確率は2分の1だ(なぜ父親由来のHLAにだけ言及しているかというと、娘にとって父親が臭くて母親は臭くないという前提から、娘が父親から受け継いだHLAの中の何かが悪さ?をしていると考えられるから)。このように父親や兄弟などHLAが近い男性を臭く感じることで、交配を避け、子孫のHLAに多様性を持たせようという本能が働いているのではないか、というのがこの実験の考察なのだそうだ。
でも思春期になってもファザコンのままの娘もいるし、この考え方なら母親が自分の父親から受け継いだHLAを2分の1の確率で受け継ぐ息子も臭くなるはずだが、息子のにおいが生理的にダメという母親の話は滅多に聞かないし、まだまだこの研究は途中段階のようだ。まあ、私が調べたものがごくごく表面的な内容だけである可能性も物凄く大きいけど。
父親が娘に嫌われる理由とかその他とか
HLAが面白くてしばらくネットを泳いでいたが、よく考えればもし本当に遺伝子が原因で娘に嫌われるとなるとあまり対処のしようがない。涙をのみながら近づきすぎず離れすぎずの距離を試行錯誤しつつ、妻にフォローしてもらうしかないだろう(妻よ、その時はどうぞよろしくお願いします)。
あとは自慢話が多い、愚痴が多い、話がしつこい、話がつまらない、言うことがその都度変わり一貫性がない、干渉がひどい、逆に子育てに関与しない、人をけなす、その割に自分に甘い、兄弟姉妹の誰かをひいきする、裸でウロウロする、おならやゲップをする、いやらしい目で胸やお尻を見る、不潔、酒癖が悪い、などなどが父親が娘に嫌われる理由らしい。これらを眺めてみて、裸でウロウロするのとおならをするのは今現在該当していると分かるが、やっているのに自分では気づいていないものももしかして多々あるのかも。困ったことに自分の短所は自分ではなかなか気づけない。
ちなみに自分で自分のことを把握しきれていないことを知る良い方法は、誰かに「私の口癖ってなんですかね?」と聞いてみることだ。私の場合は「えーと」と「なるほど」だったが、全く意識していなかった。この方法は相手がこちらがあまり傷つかないものを探して教えてくれる可能性が高いのでお互いにとってハードルが低く、おススメだ。逆にもしも本当に自分で自分の不都合な真実を直視したいなら、室内にビデオカメラをセットしてしばらく回し続けてみるのが良いだろう。
ところでこの文章を書いていた目的は何だったっけな?CMを見て、いずれ訪れるであろう娘の思春期に対する恐怖を改めて認識した結果だったかな…ということでタイトルは「娘に嫌われたくない」、っと。
取りあえず、幼少期のあなたはいつも父と楽しく遊んでいたんだよという証拠写真を載せておきますので今後ともどうぞよろしくお願いしますどうかあまり極端に嫌わないでください神様仏様娘様m(_ _)m
証拠写真(笑)





(2021.2.6)
