煙管(キセル)

仕事関係の知人から、職場近くの高校の女子学生が列車の「キセル」をやって、グループ内でやり方を共有してキセル仲間を増やして、結局バレてお灸を据えられたらしい、という話を聞いた。

キセル乗車とは

キセル乗車とは、列車の不正乗車のやり方の一つで、基本的には途中の区間を抜かした2枚以上の切符を購入し、不正に安く列車に乗車することだ。なぜ「キセル」と言うのか?というと、中間を省いて両端区間のみの切符を購入するやり口を、両端(吸い口と火皿)だけ金属製、中間の筒は木や竹製のキセルに見立たてているため。

キセル乗車の例

キセル乗車の一例(かなり極端だが)をあげる。東北本線の盛岡駅~一ノ関駅間(①盛岡→②仙北町→③岩手飯岡→④矢幅→⑤古舘→⑥紫波中央→⑦日詰→⑧石鳥谷→⑨花巻空港→⑩花巻→⑪村崎野→⑫北上→⑬六原→⑭金ヶ崎→⑮水沢→⑯陸中折居→⑰前沢→⑱平泉→⑲山ノ目→⑳一ノ関)は正規料金¥1690なのだが、①盛岡駅~②仙北町駅間¥150と⑲山ノ目駅~⑳一ノ関駅間¥150の切符だけ購入すれば¥300だ。盛岡駅の券売機であらかじめこの2つの切符を購入し、盛岡駅の自動改札機に盛岡~仙北町駅の切符を入れて通り、列車に乗車。そして仙北町駅で降りない。そのままこっそり一ノ関まで乗って行き、一ノ関ではいかにも山ノ目駅から乗りました、という素振りで山ノ目~一ノ関駅の切符を自動改札機に入れて通り抜ける。この不正に対して改札機がピンと来ると良いのだが、機械に観察力は無いので、盛岡駅でも一ノ関駅でも改札のゲートは普通に開いてしまう。

キセルがバレたら

キセル乗車なんてものを考え出した人間はずいぶん知恵が働いたなぁ、などと感心してしまうが、当然ながら犯罪行為なのでやってはいけないし、やったとして不正はバレる。そしてバレた場合はどうなるかというと、基本的には正規料金の3倍の金額が請求され、常習性がある、反省がみられない、など悪質と判断された場合は警察に通報され、保護者や家族はもちろん、学校や会社にも知られることになる。その先は、自業自得とはいえ辛い状況が待っていることだろう。
女子高生たちがその後どうなったかまでは聞かなかったが、温情措置で厳重注意のみで済んだのか、それとも3倍料金を不正をした回数分だけ払ったのか、呼び出された親が泣いたのか、それとも学校に連絡が行って部活動ができなくなったり内申に響いたり、それか駅員にキセルをネタにゆすられて金品や肉体を要求されたりとか…(それはないか)。

まとめ

目先の数千円数万円で自分の信用に傷をつけ、人生の一時を棒に振るのはあまりにもバカバカしい。不正はバレるし、もし万が一バレなかったとして、自分は自分がしたことを覚えている。精神的成長とともにいずれ良心の呵責に苛まれることになり、もしくは何か不幸な出来事が起きた際に「あぁ、あの時の行いの報いだ」と後悔することになる。不正行為で一番被害を被るのは自分自身。その逆に、正しい行為を続けることで一番恩恵を受けるのも自分自身なのだ。
…と書きたいが、では正しい行為とは何なのかというと、うーむなかなか難しい。普遍的な正しさが無いのならば、家族のメンバーが壁にぶつかる度に家族みんなで話し合ってベターを見つけて行ければ良いか。と思いつつ、思春期の娘が父親に心を開いてくれるかどうか、非常に不安なのであります。

将来はこわいけど、でも健やかに育ってくれるのはとっても嬉しい。高松の池にてくつろぐカモと娘。2021.3.20。

(2021.3.22)

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